「タンパク質の摂り過ぎは身体に悪いよ」という情報が良く流れていて、職場の人からもたまにゆわれます。世間的にそういう認識があるのかよくわかりませんが、僕自身あまり気にしてこなかった部分でもあるので、今回の記事で詳しく解説していきます。
タンパク質を摂りすぎるとどうなる?
現時点では健康な成人がタンパク質の過剰摂取で健康被害があるというような十分な報告はないです。たんぱく質の耐容上限量を設定する上では、十分な根拠が見当たらないため、耐容上限量が設定されていないんです。要するにどれだけ食べても問題ないですよ、ということです。
ただし、成人は年齢にかかわらず、一日のたんぱく質摂取量を体重1kgあたり2.0gにとどめるのが適当である、ということがいわれています。
身体への悪影響は?
本当に健康面での影響はないのでしょうか。考えられるリスクについて以下に記載しました。
肝臓・腎臓の機能が低下するリスク
たんぱく質の過剰摂取による悪影響の中で1番深刻なのが内臓への負担ですが、結論から言うと、特に心配する必要はありません。その理由についてみていきます。
肝臓と腎臓は、タンパク質を分解する場所です。タンパク質の摂取量が多すぎると分解が追いつかず、負担が増え、うまく機能しなくなる可能性があります。
とはいえ、リスクが高まるのは体重1kgあたり3.0g以上を毎日継続して摂取した場合です。エビデンスはありませんが、そういわれています。
だとすると、体重70kgであれば240g以上、これは鶏むね肉を1日1kg以上食べ続けないと到達できません。プロテインで摂るなら12杯程になります。現実的に難しい数字ですので、内臓への心配はなさそうです。
ただ、たんぱく質は身体への相性があるので、自分の身体と相談して適切な量を取っていきましょう。
カルシウム不足による骨粗しょう症リスク
骨粗しょう症リスクもよく聞きますが、こちらも結論からいうと、タンパク質の過剰で骨粗しょう症になるという因果関係はないことが分かっています。
ラットを用いた研究で、成長期のラットに対したんぱく質を与え、カルシウムの摂取量に差がなかったとしても、たんぱく質があまり含まれない食事では、カルシウム、リン、マグネシウムの腸管吸収率や体内蓄積率が低下し、骨成長や骨強度が低い値を示した。
参考:KANKEN(科学研究費助成事業データベースhttps://kaken.nii.ac.jp/)
このことから、むしろ積極的にタンパク質を摂取することで骨には良い作用が働いていることがわかります。タンパク質やほかの栄養素をバランスよくとることで予防にもつながります。
たんぱく質は意外と足りてない?
今回はたんぱく質の摂り過ぎというテーマですが、そもそも過剰摂取するのは大変で難しいですし、逆に現代人はたんぱく質不足であることのほうが多いと感じます。実は、たんぱく質不足による健康被害のリスクのほうが過剰摂取に比べはるかに高いんです。
たんぱく質は、体を作る要素だけでなく、酵素やホルモンなど体の機能を調節する大切な役割を果たしています。不足に陥ると、免疫機能が低下、抵抗力の低下などの影響でさまざまな病気にかかりやすくなります。
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摂取量の目安は?
一日のたんぱく質摂取量には個人差があり、体格差や運動量によっても摂取する目安が変わってきます。一般的な視点で大きく3パターンに分けて解説します。
活発に運動を行っていない人
たんぱく質の摂取を体重1gあたり1.0g程度に設定。体重70㎏の人であれば、70g前後を目安にします。
身体のホルモン機能、免疫機能を守るためにも、一日の身体に最低限必要な量を守って摂取していきましょう。
定期的にスポーツやトレーニングを行っている人
たんぱく質の摂取を体重1gあたり1.5g程度に設定。体重70㎏の人であれば、105g前後を目安にします。
運動を行っていない人と比べると、1.5倍ほど多く意識的に摂らないと逆にたんぱく質不足になります。たんぱく質不足は身体に悪い影響がでます。積極的に摂っていきましょう
ハードに鍛えている人、ボディコンテストなどに出場する人
たんぱく質の摂取を体重1gあたり2.0g程度に設定。体重70㎏の人であれば、140g前後を目安にします。
ハードトレーニーの少数の人がここに当てはまるかと思います。コンテスト選手などのトレーニングレベルになると、さらに多いたんぱく質量が必要なこともあります。自分の身体に合わせた摂取量を知ることが大切です。
参考までに紹介しますが、僕自身の一日のたんぱく質摂取量は大体200g前後で、体重1kgあたり2.5gほどです。ここ数年はこの量で生活していますが身体に影響が出たり、病気になったりはしていません。これからも継続していく予定です。
マクロ栄養素の計算方法はこちらで解説しています。
自分の身体との相性を知る
ライフスタイルは人それぞれで、それに伴って摂取量も変化します。その中で、たんぱく質と身体の相性も気にしておくべきところです。
たんぱく質を多く含む食品やプロテインを摂取した時に気分が悪くなったり、お腹が張ったり、体調が悪くなる人はあまり相性が良いとは言えません。
たんぱく質には動物性や植物性などがあり、体の中での役割が少し違うのでいろいろ試してみてください。たんぱく質が必要なことには変わりありませんからね。
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